第3回

◆第3回リスクとチャンス
前回に、ヒット商品を作るには、リスクとチャンスの両方を見極める眼を持つべきであると言いました。それでは、リスクとは何でしょうか。そしてチャンスとは。最近、新聞紙上でもリスクという言葉が氾濫してきております。
 リスクとは、危険や冒険を意味します。新商品や新事業の危険は何か。そして冒険とは。危険は身体だけでなく、物や金、システムにもふりかかってきます。我々の生活は、リスクでおおわれ、身体への損害、物や金、システムへの損害があふれております。
 そこで、新商品や新事業では、その危険の意味は、さらに拡大解釈され、不満、不快、不都合、不利、不合理、と言った言葉に置き換えられ、さらに損失、不確実性、阻害要因、マイナス要因、前兆現象、欠陥なども含んできます。特に、商品や製品におけるリスクとは、売れないマイナス現象を言います。さて、商品や事業にはどんなリスクがあるのでしょうか。健康医療分野では、例えば、リモコンのボタンが小さいというリスクのために高齢者や障害者にとって非常に不満が出てくる。それを操作しやすい、そして適度な大きさに差別化をする。それがチャンスへとつながっていきます。
 チャンスとは、機会、好機、見込み、偶然、運など成果につながるプラスの現象を意味します。リスクという売れない前兆にコストをかけて、チャンスという売れる前兆に変えてゆく。それが未来質管理の本質であります。過去の成功商品は、全てリスクをチャンスに変換したものばかりです。そのリスクは、時代と共に、意識と共に、環境と共に変化します。その変化の先取りをしながら新商品・新事業を開発するのです。
 高齢化社会には、お年寄りが一人で留守番する機会が増えます。そこで、従来の座椅子をハイテク化し、書留郵便、お届け物、御用聞き、隣人の訪問などに座椅子に坐りながら対応するハイテク座椅子が必要になります。
 そこでは、お年寄りの留守番の時に起こるいろいろな不都合(二度手間、早期対応ができない、怪我をする等)というリスクを解消し、ハイテク座椅子の販売というチャンスにつながることになります。子供が減少するという社会的リスクに対応して、どんなチャンスが発見できるか。それは、大量生産の塾経営ではなく、一人一人の個性を見ながら教育する、というチャンスが生まれます。そのためには、子供に応じたテキスト内容、教え方をサービスとして提供すれば、これからの型経営は成功します。
 リスクをつかまえれば、チャンスをつかまえたのと同じこと。そして、チャンスの裏には必ずリスクが隠れています。リスクはチャンスであり、チャンスはリスクであります。リスクとチャンスの両面から管理することが未来質管理の本質であります。野球でもピンチの後にチャンスあり、チャンスの後にピンチあり、と言われます。リスクとチャンスとは、常に表裏一体の関係にあることに留意して下さい。
 従いまして、リスクを見つけた時には、どんなチャンスにつなげるか。そしてチャンスをつかんだら油断せずにリスクを考え、事前におさえることであります。