◆第11回教育事業分野
今、日本経済を再び活性化させるには、戦後の教育制度を変えることが必要である。知識の詰め込み教育が先行し、知恵や知性の教育の遅れが今の経済不況につながっている。「良い大学へ行けば、良い会社に就職でき、良い生活ができる」という方程式が社会に定着してしまったために、人を判断する基準は学歴や会社名であり、その人の知恵や創造性は評価されない。ここに経済が不況になった最大の原因がある。
今の日本の大学生は 8割以上が大手企業志向であり、自ら危険を冒してベンチャー事業をやろうとする学生はいない。これに対して、米国の学生は 7割はベンチャー起業をのぞみ、大手企業への志望者は少ない。米国の学校教育では、小学生の頃からビジネスを教えるが、日本では御法度となる。「金儲けは悪」というのが日本の社会風土では根強い。これでは、ベンチャー企業はなかなか誕生しない。今や、受験産業に代わって、新しい創造性教育の教育事業の誕生が待たれる。わが国で教育・研修と言えば、OA機器教育、パソコン教室、管理者養成講座、資格試験、などほとんど創造性を教育する機関はない。
これからの日本の社会は学歴や会社名ではなく、確実にある専門分野の知識、事業を立ち上げる知恵、グローバルに事業を進める推進力が必要とされる。有名大学を出たことが、必ずしも創造性につながるわけではないことを認識するべきである。それは、現在の教育をみれば高校でも大学でも徹底的な詰め込み教育で優の数を多く取った学生が社会で評価される。それは全て間違いではないが、半分間違っている。半分は、整理整頓、体系的整理のできる人が必要であり、半分は発想豊かに、創造し、知恵を使って企業の新しい製品開発や新規事業ができる人が必要になる。現在の不況下では、後者のタイプの人間が必要とされる。ゼロから物を生み出せる、そんな人材が必要である。そのためには、リスクマネジメントや未来質管理の教育がどうしても欠かせない。リスクは創造そのものである。
リスク感性の高い人が創造性の高い仕事をする。大学の授業科目の中にも、リスクマネジメントや未来質管理がないと、21世紀は欧米諸国には到底かなわない。品質管理も重要であるが、それを支えているのが、未来質管理であることをわすれるべきではない。
われわれが何時までも子供に有名大学、有名企業がベストであることを教え続けていたら、日本は間違いなく沈没する。有名大学、有名企業は出来上がった過去の完成品である。これからの新しい時代には新しい大学、新しい企業が当然誕生しなければ社会の進化はない。将来の本田技研、ソニー、パンソニック、トヨタが必要になる。それには、現在の偏差値重視の教育制度の破壊、知識詰め込み主義の破壊が必要になる。何故、学生が夢を持ち、日本の将来を考えなくなったか。その理由は、なんの特徴もなく、自分で考えることもなく、ただ知識を頭の中に詰め込むことの退屈さからである。だからやたらと知識を覚えることのテクニシャンが有名大学に入り、有名企業に行く。その結果、創造性のない管理が出現し、不況へと進む。それが現在の日本の若者がやる気をなくす原因となっている。
新製品開発には高学歴、有名企業は関係ない。それより、意欲、手法、知恵の3つが大切である。
